アイデアの採択基準と、不採択の場合に FoundX がよく行うフィードバック

本ドキュメントは、Founders Program と Pre-Founders Program に応募する際のアイデアに関するヒントとしていただくために書かれました。内容は随時更新しています。

プログラムの特徴による採択基準

FoundX のプログラムには目的別に以下のように分かれています。
  • Founders Program と Pre-Founders Program - 主にアイデアの深化
  • Fellows Program - 主にアイデアの探索
Founders Program と Pre-Founders Program は主に深化を目的とするため、各チームの実行を支えるゴール設定とリズム管理をメインに設計されています。そこで、プログラム加入時点で「大きなアイデアのピボットをしなくても良いであろう」という程度のアイデアの練度と仮説の解像度が一つの大きな採択の判断基準になります。

もしまだアイデアのピボットの可能性が十分にある場合、探索フェーズに該当する Fellows Program をお勧めしています。



以下では十分なアイデアの練度や仮説の解像度として求められるレベルと特徴について、おおよその基準を解説します。


😍 B2C のサービスの場合

B2C で、かつニッチな市場の場合、評価者たちはユーザーではない可能性が高まります。その場合、アイデア単体ではうまく評価できない場合があります。

📚 あると良い情報
アイデア自体の評価が難しい場合、以下のようなトラクションを記載いただくことで、「実際にユーザーから求められている」ことが分かり、アイデアを評価しやすくなる場合があります。
  • リリース後のトラクションの状況を書く(コンシェルジュ型 MVP を使ったトラクションでも可)
また B2C の Web サービスやアプリは UX や改善スピードが重要になるため、以下のような情報があると評価が高くなる傾向にあります。
  • 実際に作ったプロトタイプ(figma などではなくワーキングプロトタイプ)やプロトタイプの改善スピードを見せる
⭕ B2C で採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • アプリを作る前に自分でコミュニティを作り、そのコミュニティの参加人数をもってトラクションとして見せた
  • 1000 個以上のコンテンツを表示できるプロトタイプをリリースした
❌ B2C で不採択になるチームの事例と特徴
不採択になりやすいチームには以下のような特徴があります。
  • まだ顧客インタビューをしているだけの状態
  • アイデアを明確かつ簡潔に言えない状態
  • ワーキングプロトタイプがない状態

🍴 B2B の SMB サービスの場合

SMB (Small & Mid-market Business) 向けも B2C に近いため、以下のような情報を記載いただくことで、アイデアを評価しやすくなる場合があります。

📚 あると良い情報
  • 「リリースしたら買う」などのトラクション(口頭ではなく書面が望ましい)を顧客から既に獲得している(コンシェルジュ型 MVP を使ったトラクションでも可)
  • 実際に作ったプロトタイプ(figma などではなくワーキングプロトタイプ)やプロトタイプの改善スピードを見せる
⭕ B2B SMB で採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • 飲食店に50件インタビューして回ったことと、その結果のインサイト
  • 町工場に30件インタビューして協力企業を見つけていた
❌ B2B SMB で不採択になるチームの事例と特徴
  • 大きなビジョンを描いているものの、最初のエントリーポイントで差別化要素が十分に伝わらない内容になっている
  • 解決策の技術に関する記述が、「AI」などの抽象的な言葉のみになってる

🏢 B2B のエンタープライズサービスの場合

大企業(エンタープライズ)向けのサービスの場合、検討から導入まで1年程度の時間がかかる傾向にあり、それなりに進んでいる段階でなければプログラムとの相性が良くありません。またセールスやコンサルティングを含むサービスが重要になるため、そうした経験があることで説得力が高まります。

📚 あると良い情報
  • 実際に作ったプロトタイプ(figma などではなくワーキングプロトタイプ)やプロトタイプがあること
  • エンタープライズ領域での職歴
⭕ エンタープライズ向けで採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • 過去の GAFAM で機械学習を使った作業に従事していて、その時必要だった機械学習サービスを補完するサービスを作ろうとしていた
  • イベント等で顧客候補をとにかくつかみ、大手企業と何社も話していた
❌ エンタープライズ向けで不採択になるチームの事例と特徴
  • 顧客候補とのつながりがほとんどない
  • プロトタイプを作れる陣容ではない

🏭 Vertical のサービスの場合

各産業別の深い課題を評価者は深く知らないケースも多々あります。そこで以下のような情報を参考にアイデアの質を判断することがあります。

📚 あると良い情報
  • 現場での実務経験
  • 顧客インタビューの実施状況
  • 実証実験や PoC を進めていること
⭕ Vertical で採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • 自分自身のソフトウェア開発の体験から、どの開発工程を自動化するべきかについての洞察
  • 仮説を基に特定企業と実証実験を進めているという実績
❌ B2B SMB で不採択になるチームの事例と特徴
  • 自分の実務経験だけで動いており、十分な顧客インタビューは実施できていない
  • あまりにもニッチ過ぎて、スタートアップとして不向きな領域に見える

🤖 ハードテックの場合

ハードテックは時間がかかることを私たちは十分に理解しているつもりです。そこでハードテックスタートアップには、優れた技術があれば多くは求めません。しかし顧客の課題については、十分に検討の上ご参加いただきたいため、以下のような情報があると評価しやすくなります。

📚 あると良い情報
  • 顧客の領域や課題が明らかな状態 (LOI などはなくても構わない)
⭕ ハードテックで採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • 現状の開発状況が分かりやすいビデオ
❌ ハードテックで不採択になるチームの事例と特徴
  • まだ論文のレベル(こうした場合は GAP ファンドをお勧めしています)
  • 技術はあるが、顧客がまだ明確ではない


🏛 規制領域の場合

規制領域も同様に時間がかかります。しかし、いくつかの方法でアイデアの良さを判断することがあります。

📚 あると良い情報
  • そもそもなぜ規制に挑まなければならないのか
  • どの規制を変えるべきかを分かっている
  • 規制担当者へのアプローチの状況
⭕ 規制領域で採択されるチームの事例
このジャンルで合格したチームは、以下のような情報を提供してくれました。
  • 自身が関わる標準化団体での活動
❌ 規制領域で不採択になるチームの事例と特徴
  • 具体的にどの規制が問題なのかを明確に言えない
  • 規制の緩和が消費者にとって不利な内容になっている



書類整備の注意点

多くの応募が書類審査で不採択となります。その一般的な傾向と対策をまとめました。
  • 情報は必要十分な量に節制すると通りやすくなります。情報が多いと逆に理解しづらくなることのほうが多いようです。
  • 仮説とクレーム (主張) を明確にできていると理解しやすくなります。スタートアップのアイデアで重要な仮説は、課題と解決策と急成長できるかどうかです。それらをクレームと言う形でまとめるように心がけると審査に通りやすいです。
  • アドバイザーの肩書は説得力に繋がりません。アドバイザー程度の関与であれば、ほとんど評価に影響しないので、多くのアドバイザーを得ようとするよりは、アイデアのブラッシュアップに時間をかけたほうが良いと思います。
  • 面接に通ることを前提に、書類の情報を減らさないようお願いします。書類上の情報で十分に理解できない場合、書類審査の時点で落ちてしまいます。不採択の通知をした際に「面接で話そうと思っていました」というコメントをいただくことも多いのですが、重要な情報は書類にも記載しておいていただければ審査しやすくなります。ただし、情報は必要十分な量にとどめるようお願いします(取捨選択をお願いします)


よくあるフィードバック

締切の2週間前までに応募いただいた方々にフィードバックを返しています。そのときに良く私たちがお送りするフィードバックをまとめました。

  • 顧客の課題を書いてください - アイデアの解決策や技術の詳細を書く一方で、顧客の課題の詳細を書いていただけていないケースが多数あります。ぜひ顧客となりうる方へインタビューを行い、課題の有無を検証してください。
  • 市場の課題ではなく、顧客の課題を書いてください - 記述のレベルが市場の課題である場合、このようなフィードバックをすることがあります。(→ その課題、顧客の課題ですか? それとも市場の課題ですか?
  • スケールしないビジネスモデル(コンサルティングサービスや労働集約的な教育サービスなど)のように見えます - あくまで製品のアイデアをお願いしています。コンサルティングから始めながら製品を作るケースもあると思いますが、FoundX では製品を作る段階になってからのご応募をお願いしています。
  • 初期の検証をしてください - 比較的簡単に検証ができそうなものは、採択の前に検証してみることを強くお勧めします。「FoundXがおすすめする初期のアイデア検証方法」などの記事を参照してください。

なお、アイデアを明確かつ簡潔に書けるかどうかは、仮説の解像度を測る一つの要素として使わせていただいております。「十分に話す時間を取ってくれれば分かるのに」と思われるかもしれませんが、ぜひ明確かつ簡潔に書く練習として、応募フォームをご活用いただけますと幸いです。ぜひ「Y Combinator の応募方法と成功の秘訣 - FoundX Review」もご一読ください。